バンクーバータッチ修行
ミリオンマイラーを目指して最初の修行として羽田からバンクーバーまで往復を飛んできました。
バンクーバータッチ修行(往路)
タッチ修行とは
修行僧の間で言われている「タッチ」とはどこかの空港に飛んで行き、空港から外に出ずにまたもとの場所に戻ってくる飛行機の乗り方を指します。有名なところではOKAタッチ(那覇空港)やSINタッチ(シンガポール チャンギ空港)が有名です。目的地に着いても観光などはせずにすぐに折り返すことから(空港に)タッチだけして帰ってくるという意味からついた名称だと思います。
今回の旅程
一般的にタッチと言われるのは国内線か、国際線ではアジア/オセアニア路線までで行われることが多いと思います。欧米路線でもタッチ修行はできますが、片道だけでも10時間から14時間程度の搭乗時間になり、休む間もなくまた同じくらいの時間をかけて戻ってくるのは体力的にもつらいため、あまりやってる人を見かけません。今回はマイルを使ってビジネスクラスの特典航空券が取れたのでチャレンジしました。これがエコノミーだったら相当キツイ修行になっていたと思います。旅程は羽田を21時55分に出発し、バンクーバー国際空港には同日の14時45分着、帰りが16時45分発で羽田に戻るのが翌日の18時50分です。現地滞在2時間、羽田を出てから戻ってくるまで約21時間のタッチ修行になります。
羽田空港第3ターミナルANAスイートラウンジ
出発の3時間前には羽田空港に到着し、チェックイン、出国を済ませてANAスイートラウンジに向かいます。まずはこれからの修行に備えてシャワーを浴びて、軽く腹ごしらえをします。
バンクーバー行きは夜遅い出発ですが離陸後機内食が出るので、ラウンジではサラダとビールをいただいただけで終わりにしました。やっぱり、ビジネスクラスに乗ったら一番の楽しみは機内食ですので、ここで満腹にしてはいけません。出発の30分前には搭乗口へ向かいます。
搭乗
搭乗口に到着するとまだ人の列はできていません。ですが、ゲート前の席は空きがなかったので、グループ1のところに並んで待つことにしました。
羽田空港国際線では出国前に自分の顔と搭乗券を紐づけておくと、セキュリティの列をワープして割り込めたり、搭乗口で搭乗券を出さなくても顔認証でゲートを通れるFaceExpressという仕組みがあるのですが、北米路線はFaceExpress登録していてもゲートでは搭乗券が必要です。おそらくアメリカとカナダ当局が顔パスを許してないのだと思います。
グループ1で優先搭乗し、自分の席に向かいます。機材はB787-9でビジネスクラスの座席数は40席ですが、前方ブロックの最後列を予約しました。
機内食
離陸して安定飛行に入ると早速機内食が始まります。1回目の機内食は事前にWebで洋食の肉料理を予約していました。メニューは最初にアミューズとして「ANAオリジナルスティック」と「海老のマリネ チーズとオリーブ」、次にアペタイザーとして「鴨の燻製と野菜のサラダ仕立て 栗のドレッシング」が出ました。アペタイザーを食べ終わるとメインディッシュ「牛フィレ肉のソテー 椎茸デュクセルソース」の登場です。
海外発の便だと肉が固いことが多いのですが、日本発の便の牛フィレ肉ですのでとても期待していました。
ところが、この肉があまり柔らかくないのです。ソテーだから火を通しすぎているのかもしれません。肉の味はよかったし、デュクセルソースも肉を引き立てる素晴らしい味付けでしたが、肝心の肉が固いのであまり楽しめませんでした。残念。
お好きなときに1
ANAのビジネスクラスでは1回目の食事が終わった後に「お好きなときに」として軽食を頼めます。この便では「 スモークチキンと味噌ジンジャーソースのサンドイッチ」と「"ヘルシー" かつカレー丼」が食べられます。以前に乗った便でヘルシーカツ丼は食べたことがありました。その名の通り、肉を使わないカツ丼で量も比較的少ないため、サクッと食べることができます。今回はそれにカレーがかけてあるものでした。
ただの「ヘルシーカツ丼」よりは若干重たかったのですが、カレーのスパイシーな味わいが効いていてペロっと食べてしまいました。
これを食べ終わるころには離陸から3時間以上が経過し、日本時間では午前2時前くらいになっています。食べ終わると同時にシートをフラットにすると、映画を楽しむこともなく寝落ちしていました。
謎のエリア
気がつくとバンクーバー到着の1時間前になっていました。通常は到着の2時間前には機内の照明が点いて2回目の機内食が配られるのですが、それにも気づかずに寝ていたことになります。周りを見てみるとほとんどの乗客が機内食を食べ終わっており、お腹も全然空いていないことから、機内食は取らないまま到着を迎えることにしました。
ふと横を見るとビジネスクラス座席が1席分、カーテンで仕切られて中が見えないようになっていました。
中にいたのはオジサン(定年前の自分から見れば若いのですが)でした。CAさんに伺ったところ、この機材にはクルーレストが装備されてないので、キャプテンがカーテンの内側の座席で休んでいるとのこと。B787では屋根裏にクルーレストと呼ばれる乗務員が寝るためのスペースが用意されているのが当たり前だと思っていましたが、ANAのB787の一部の機材はクルーレストがないのだそうです。もしかしたら国内線用の機材(国内線専用の機材にはクルーレストは必要ない)を国際線に転用したためにクルーレストがないまま飛ばしているのかもと思いました。
このオジサン(=キャプテン)には安全運航のために十分に休息を取っていただきたいと思いました。ちなみにキャプテンはビジネスクラスの座席で休息するのですが、CAさんはエコノミーの席で休息を取るとのこと。なんか、格差を感じてしまうのは私だけでしょうか?
バンクーバー到着
約9時間の飛行時間を経てバンクーバーに着きました。ここから2時間で再び搭乗口まで戻らないといけません。アメリカの空港だと到着後全員が必ず入国が必要になるので、何かトラブルが起きたときに2時間で戻るのはリスクがあります。その点、カナダの空港であれば「国際線から国際線への乗り継ぎ」という扱いで、入国手続き不要で乗り継ぐことができます。しかし、バンクーバー空港で国際線から国際線への乗り継ぎ方法に関する情報がほとんどありませんでした。バンクーバーに到着した乗客はカナダへの入国か、カナダ国内線への乗り継ぎか、米国線への乗り継ぎがほとんどで、カナダの空港でアメリカ/カナダ以外からの国際線で来て、アメリカ/カナダ以外の外国に乗り継ぐ人はほとんどいないのが実情です。乗り継ぎがどれくらい大変なのか、どんな手続きが必要なのかという情報が皆無の中、乗り継ぎにチャレンジです。
まず最初に写真のように「カナダ入国はまっすぐ、乗り継ぎは右」というところにぶつかります。ここは問題なく右へ。多くの人の流れに乗ってまっすぐ進むと、戻れなくなります。
次に「アメリカへの乗り継ぎとカナダ国内への乗り継ぎは左、国際線乗り継ぎは右」というところに出ました。これ、最初は写真の奥のトイレマークのところを右に曲がるのかと勘違いしてしまいました。国際線への乗り継ぎは右にある小屋みたいなところのドアを入る必要があります。
写真では係員が立っているので気づくかもしれませんが、最初はこの係員がおらず、テープで仕切られた向こう側のドアに入らないといけないので、気がつきませんでした。バンクーバーでの乗り継ぎ、難易度高めです。
小屋の中に入ると、乗ってきた便の搭乗券とこれから乗る便の搭乗券をチェックされ、パスポートをスキャンします。そして奥の待合室で10分弱待たされました。乗り継ぎしようとしている人は全部で7人しかいませんでした。そしてドアから入って来る人がいなくなった頃に「先に進め」と言われて進むと、セキュリティチェックのゲートがあり、それを通過すると下りの階段があります。
この階段を降りると、国際線の出発ゲートのフロアに出られました。
バンクーバータッチ修行(復路)
エアカナダメープルリーフラウンジ
無事に乗り継ぎの手続きも完了し、気楽になれました。情報が何もない中で乗り継ぎの手続きって不安ですよね。
国際線の出発ゲートのフロアはこんな感じです。
バンクーバー空港の国際線は成田のような沢山のお店があるわけでもなく、羽田のようにたくさんの人がいるわけでもない、ややこじんまりとした落ち着いた雰囲気の空港です。出発便の数も少ないので、やかましいアナウンスが四六時中流れている羽田とは違います。
滞在時間は2時間しかないのですが、せっかく来たのだからと自分のお土産にTシャツを買いました。それでもまだ時間があったので、ラウンジに行くことにしました。
入れるラウンジはANA指定の「エアカナダ メープルリーフラウンジ」かプライオリティパスを使って入れる「プラザプレミアラウンジ」です。時間があれば2つのラウンジを回りたいところですが、シャワーも浴びたいので時間の関係からどちらか1か所しか行けそうもありません。結局ANAの搭乗口に近い、メープルリーフラウンジに行くことにしました。
ラウンジに入って最初にシャワーを使いました。タッチ修行もここで半分、帰りの飛行時間は行きよりも長いので、その前に汗を流して着替えます。
ちょうど昼食と夕食の間の時間帯だったため、ホットミールはありませんでしたが、サラダはそれなりに充実していましたし、生ビールは5種類が飲めるようになっていました。が、ここで飲むと帰りの機内で美味しいお酒が飲めなくなるので我慢です。
結局シャワーを浴びて、ほんのちょっと休んだだけで搭乗口に向かう時間となり、ラウンジを出ました。
帰国便に搭乗
搭乗口に到着するとゲート前の席は羽田のときと同じようにほぼ埋まっており、再びグループ1の列で待つことにしました。
欧米の搭乗ゲートではグループ1とグループ2は同じ列に並ぶことが多く、ここバンクーバーでもそうなっていました。ANA便のグループ1はファーストクラスとダイヤモンドメンバーですが、ファーストクラスのある便はニューヨークやロンドンなど限られた便だけで、その他の国際線はファーストクラスがないので、グループ1に並ぶ人は少なく、グループ2と同じ列にしてスペースの効率化を図っている感じです。
と考えているところで搭乗開始です。
本日3回目の機内食
搭乗し出発すると滑走路手前で待たされることなく離陸しました。
飛行機が安定飛行に入ると機内食が始まります。往路の1回目の機内食、お好きなときにで2回目、これが3回目の機内食になります。
帰りの便も事前に和食を予約していました。日本への帰国便だと、帰国する日本人が和食を頼む傾向が強く、事前に予約しておかないと和食が品切れになるなんてことがよくあったのですが、コロナ後はANAであっても乗客の半分以上が外国の人なので、和食がなくなる心配はしなくても大丈夫でした。
メニューはアミューズとして「マッシュルームムースのタルトレット」と「コッパハムで包んだアプリコット」
前菜として「紋甲烏賊酒煎りと焼き椎茸の春菊ソース」、「さつま芋オレンジ煮」、「牛エリンギ巻き」、「紅葉麩」、「茄子揚げ浸し 鶏そぼろあん掛け」、「炙り鮪 炙り平目」が出ました。
このうち「茄子揚げ浸し 鶏そぼろあん掛け」にはくり抜いた人参が乗っているのですが、バンクーバー発の便らしく、その形がメープルリーフになっていました。
お国柄を感じさせる演出にほっこりしましたが、同じメニューで他の国を出る便では何の形になっているのか興味がわきました。おそらくANAから機内食の製造を委託されているカナダの会社がANAの許可を取ってやっているのだと思います。他の国だとおそらく紅葉の形なのではないかと推測します。
前菜を食べ終わるといよいよ主菜です。主菜は「サーモン幽庵焼き 鶏七味焼き」です。
カナダのサーモンなので味は抜群。油の乗りもよく、さらに焼き目の香ばしさが食欲をそそります。3回目の機内食もペロっと食べてしまいました。
ところで、このときのビジネスクラスでは日本酒に「獺祭」が飲めました。和食によく合うので、何杯もお代わりをしてしまいました。ついには1本飲み切って、新しい獺祭を封切することに!
封を切ったばかりの獺祭は格別においしかったです。
お好きなときに2
機内食を食べた後は再び「お好きな時に」を食べられる時間帯になります。帰りの便では気になるメニューがありました。「クロックムッシュ」と「豚生姜焼き丼」です。クロックムッシュは、ANAが羽田空港の国際線第2ターミナルを再開したときにラウンジで食べられるメニューに目玉として加えたことで注目されていましたが、機内食でも出すとのことで気になっていました。そして豚生姜焼き丼は海外出発便で提供される丼はいろいろありますが、初めてのメニューだったのでこれも気になってました。この両方を食べようと思い、機内食のデザートは食べずに2つを注文しました。
豚生姜焼き丼の写真は取り忘れました。クロックムッシュは思ったよりも小さく、一口二口くらいで食べられる量でした。生姜焼き丼は日本の生姜焼きがそのまま乗っているわけではなく、豚肉と野菜を炒めたものが小さな丼に乗っている感じで、これもとても美味しくいただくことができました。
その後、デザートとしてカナダの会社のアイスクリームとデカフェコーヒーをいただきました。
機内は照明が落とされて暗くなっていましたが、窓の外はまだ夕方の感じで、太陽を追いかけて西に飛んでる飛行機ならではだったと思います。
本日5回目の機内食
窓の外が暗くなってきたときに、機内の照明が点きました。羽田まで残り2時間です。ここでこの旅5回目となる機内食をいただきます。最後のメニューは洋食を選択しました。
洋食は「ほうれん草のカネロニ ボロネーゼ」でした。330kcalと書いてあったので軽食みたいなものを予想していたのですが、結構しっかりとした食事が出ました。お腹はかなり重かったのですが、このまま羽田に着いたあとは寝るまで何も食べないつもりだったので、完食しました。
帰国
21時間で日本とカナダを往復するタッチ旅でしたが、機内で食べてばかりの旅になってしまいました。食べるか寝るかで過ごしたので、見ようと思っていた映画は1本しか見れませんでした。何度も寝落ちしてしまったのが残念です。
現在のライフタイムマイル
さて、バンクーバータッチを終えて現在のライフタイムマイルの確認です。
419290マイルです。目標の100万マイルまで
あと58万710マイルです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。